鼎談:デイヴィッド・ファーチゴット × ジョンソン・チャン × 清水敏男

デイヴィッド・ファーチゴット

David M. Furchgott
(インターナショナル・アーツ・アンド・アーティスツ 創始者・代表/アメリカ)

芸術家、科学者、起業家を輩出したクリエイティヴな家系に生まれ、美術の教師、アーティストとしての教育を受ける。 23歳で小さな美術学校の校長となり、美術展示企画、美術教育、小さな美術学校の運営に携わり、その後サウスキャロライナ州政府の機関で公共とアートを結びつけるプログラムを作成する任務についた。 『スポレト芸術祭Spoleto Festival』に関わったことを契機に活動範囲を世界にひろげ、1979年から拠点をワシントンDCに移し、非営利団体インターナショナル・スカルプチャー・センターの初代所長を16年間務めた。 同センターではアーティストのためのさまざまなプログラムを打ち出し、約15000人のメンバーを70カ国以上から集めることに成功し、北米はもとより、アジア、ヨーロッパで展覧会を行なった。 日本でもマーク・ロスコ、デイビッド・スミス、フランクロイド・ライト、ピーター・ヴォーコスなどの展覧会を企画している。 世田谷美術館の開館記念展覧会ではアメリカから作品を借用することに貢献した。 彼はまた、雑誌『彫刻Sculpture』を創刊し15年にわたり編集に携わった。 そうした活動を進展させるために1995年に非営利団体インターナショナル・アート&アーティスト(IA&A)を創設。 IA&Aは現在ではアメリカで最も多くの美術巡回展を企画する機関となり、18年間で開催した展覧会は500を超える。 日本でも開催された展覧会の例としてアメリカのエスニック・マイノリティのアートを紹介した『アメリカン・ストーリー』がある。 また書、武具、竹工芸、現代陶芸など日本の伝統工芸、現代工芸、現代美術などの展覧会も数多く企画している。 さらにIA&Aはファーチゴット氏の指導のもとアメリカの文化関係機関と提携し、毎年90~130名を対象にアーティストやアートマネージメント専門家のトレーニングプログラムを実施している。 またワシントンDCにおいて、現代美術のための小さな展示スペースを運営しており、新進のアーティストや発表機会が少ないアーティストの小規模な展示を年間30~36ほど行っている。

ジョンソン・チャン

Johnson Tsong-Zung Chang
(美術評論家/香港・中国)

ジョンソン・チャンという名で知られるチャン・ツォンズンはキュレーター、ハンアート・TZ・ディレクター、中国美術学院・客員教授。 ジョンソン・チャン氏は1980年代より中国現代美術を推進し、“China’s New Art Post-1989”(1993-1997年)や、サンパウロ・ビエンナーレ(1994年)、ベネツィア・ビエンナーレ(1995年)への中国人作家出展参加、 またサンパウロ・ビエンナーレ(1996年)、ベネツィア・ビエンナーレ(2001年)香港館などの国際的な大規模展覧会を企画した。 リサーチプロジェクトも行っており、 最近の主なプロジェクトには、2004年より開始した“Yellow Box”シリーズと呼ばれる、中国現代美術の実践と中国における美的空間に関するリサーチ、 2012年より開始した“Jia Li Tang”プロジェクトと呼ばれる、儒教の儀式と美学に関するリサーチなどがある。 最近では、広州トリエンナーレ “Farewell to Post-Colonialism” (共同キュレーター)(2008年)、上海ビエンナーレ(共同キュレーター)(2012年)、インド/中国美術知的交流プロジェクト“West Heavens”(2010年上海ビエンナーレ、 2011年広州トリエンナーレ、2012年上海ビエンナーレ)、アジア近代思想フォーラム“Inter-Asia” (2012年〜)、 “Hong Kong Eye”(2012年サーチギャラリー)などの展覧会を企画。

清水敏男

Toshio Shimizu
(学習院女子大学教授、TOSHIO SHIMIZU ART OFFICE 代表、美術評論家、本セミナー企画者)

略歴:

1953 東京生まれ
1977 東京都立大学人文学科文学科卒業
1983 ルーヴル美術館大学修士課程修了
1985-91 東京都庭園美術館キュレーター
1991-97 水戸芸術館現代美術センター芸術監督
1998-01 イセ文化基金顧問
1999 三鷹の森ジブリ美術館アドバイザー
2004- 学習院女子大学・大学院教授

美術評論家連盟常任委員、東京都現代美術館美術資料収蔵委員会委員、日仏美術学会会員財団法人徳間記念アニメーション財団評議員、 美術史学会会員、国際博物館評議会会員