鼎談:ジャン=ユベール・マルタン × ブラヒム・アラウイ × 清水敏男
ジャン=ユベール・マルタン
Jean-Hubert Martinジャン=ユベール・マルタン(1944年、フランス・ストラスブルグ生まれ)は、1971年から1982年まで、フランス国立近代美術館でキュレーターを務めた。 また1977年にオープンしたポンピドゥー・センター(パリ)の設立に携わった。国立近代美術館では近代美術と現代美術の両方を担当し、Francis Picabia (1976)、Kazimir Malevich (1978)、 Paris-Berlin (1978)、 Paris-Moscou(1979)などの展覧会を企画した。 続く1982年から1985年までスイスのベルン美術館の館長として多くの現代美術展を企画し、とくにイリヤ・カバコフの世界初の個展を開催した。 1987年から1990年までポンピドゥー・センター国立近代美術館の館長をつとめ、異文化をまたぐ展覧会『大地の魔術師たち』(1989)を企画した。 1991年から1994年にかけては、オワロン城で国際的な現代美術コレクションを形成した。 1994年から1999年にかけて館長をつとめた国立アフリカ・オセアニア美術館では改革を行い、伝統芸術と現代美術を展示し、さらに全世界のアートを展示するようになった(『五大陸ギャラリー』展)。 その後2000年から2006年までデュッセルドルフのクンストパラスト美術館の館長を勤めた。 2000年には、リヨン・ビエンナーレのキュレーターとして『Sharing Exoticisms』を企画、2009年にはモスクワ・ビエンナーレのキュレーターとして『Against exclusion』を企画した。 2009年にグランパレで開催された展覧会『隠されたイメージ:アルチンボルド、ダリ、レェツ』の企画をしたことから、2012年にポンピドゥー・センターでの大規模なダリの回顧展(2012年)を企画し大成功を納めた。 2007年のベネチア・ビエンナーレでは、フォルテュニー美術館で展覧会『Artempo』の共同キュレーターをつとめた。 芸術の境界の撤去を押し進めマルタンは、展覧会『Theatre of the World』を2012年にはホバート(タスマニア)のオールド・アンド・ニュー美術館で、2013年にはパリのメゾン・ルージュで開催した。 現在は、グランパレのMONUMENTAシリーズの展覧会として2014年に開催予定のイリヤ&エミリア・カバコフによる展覧会『The Strange City』を準備中である。
ブラヒム・アラウイ
Brahim Alaoui美術史家、展覧会コミッショナー。 パリ市近代美術館研究員を経てパリのアラブ世界研究所所長に就任。 同研究所で20年にわたり展覧会を企画し研究所の存在を知らしめる事に貢献した。 多くの著作、展覧会カタログでアラブ人現代美術作家の紹介につとめている。 執筆活動と展示活動を通じてアラブ世界の現代美術とヨーロッパならびに世界の美術状況との橋渡しを行っている貴重な人材である。 1999年ヴェネチア・ビエンアーレのユネスコ賞審査員、2000年上海ビエンナーレ審査員など多くの審査員をつとめている。 ユネスコ美術部門評議員、ICOM(国際博物館評議会)会員、国際美術評論家連盟フランス部門会員。 アラブ各国の財団、政府機関で美術館運営のアドバイザーをつとめている。
清水敏男
Toshio Shimizu略歴:
1953 東京生まれ
1977 東京都立大学人文学科文学科卒業
1983 ルーヴル美術館大学修士課程修了
1985-91 東京都庭園美術館キュレーター
1991-97 水戸芸術館現代美術センター芸術監督
1998-01 イセ文化基金顧問
1999 三鷹の森ジブリ美術館アドバイザー
2004- 学習院女子大学・大学院教授
美術評論家連盟常任委員、東京都現代美術館美術資料収蔵委員会委員、日仏美術学会会員財団法人徳間記念アニメーション財団評議員、 美術史学会会員、国際博物館評議会会員