ごあいさつ

アートマネジメント国際セミナーに期待するもの

本学は、他にはない国際文化交流学部という名称の学部を掲げて、1998年の開学当初からグローバル化を見据え、グローバル人材の育成を掲げてきた。 この言葉はここ2、3年よく聞かれるようになったが、ようやく時代が追い付いてきたという感がある。 この国際文化交流という名称は広い分野を包括する。 本学ではそれに対して様々な学問分野からアプローチして、研究教育活動を行っている。 その中で大きな柱の一つがアートであり、アートマネジメントである。 学部教育に加えて、大学院(国際文化交流研究科)では、プロフェッショナルスクール(専門職大学院)的な分野の一つとして、国際協力とともに文化マネジメントを有している。 こうした中で、今回アートマネジメントの分野での権威である本学の清水敏男教授を中心に、「アートマネジメント国際セミナー」を開催する運びとなった。 内外からの著名な方々にご参加いただくこの魅力的なプロジェクトが、本学のアートマネジメントの研究・教育のポテンシャルを社会に強くアピールするものと確信する。 さらにこれによって今後より多くの有為な人材が集まり、アートマネジメントの拠点として羽ばたくことになることを強く期待している。

学習院女子大学長 石澤靖治

アートの無い世界を想像できるでしょうか。 寺院、博物館、美術館、街、家庭から全てのアートが消えてしまったらどうでしょう。 アートは私たちの日常を豊かにし、生きる喜びを与えてくれます。 アートは時代精神の表現であり、共同体のアイデンティティです。 アートはさまざまなレベルのコミュニケーションを実現します。 時代、言語、文化を超えてアートは人々をつなぎます。 こうした多様な役割を担うアートは、現代社会においてさまざまなシステムに組み込まれ、アートの生産者、庇護者、享受者の間をつなぐ者、プロデュースし、マネジメントする者の存在が不可欠になっています。 今21世紀という新しい時代を迎え世界は大きく変わりつつあります。 インターネットの普及により知識や技術は世界を駆け巡り、市場は単一化に向かっています。 人々はかつて経験したことのない地球的規模のコミュニケーションに直面しています。 このような新しい状況のなかでアートは消滅するどころかますます重要な存在となり、大都市の博物館、美術館が多くの入場者を集める一方、さまざまなアートプロジェクトが地方の活性化に役立っています。 本セミナーでは世界各地から集まる専門家たちとともに新しい時代のアートのあり方、役割、アートマネジメントについて考え、意見交換し、世界に向けて発信することをめざしています。 アートマネジメントに関心のある学生、一般の方、すでに博物館や美術館、アートプロジェクトの現場で働いている方々に参加いただき、一緒に新しい時代のアートマネジメントの創造に加わっていただきたいと思っています。

学習院女子大学教授 本セミナー企画者 清水敏男