アジアの文化芸術の「目」となりつつある香港発のアートマネジメントについて語る。
文化マネジメントとは、一般公衆のためにアートを定義、選別、解釈、提供する仲介の行為である。 文化をマネジメントするキュレーターは望まずして一般公衆が芸術と文化を理解することに関し多大な影響力を行使することになる。 その結果文化を仲介する専門家として倫理的な重い責任を負っているのであり、常に思慮深く自己に批評的であり続け、芸術と文化を提供するために使われているヴォキャブラリ、旧来の方法、形式を見直し、吟味することが求められる。 展覧会を企画することを例にあげれば、私の講義はこれまで行われて来た展覧会の形式を分析し吟味する一方で、特定の社会的、政治的、美学的な文脈における文化の提供に際し、批評的に行うためのキュレーションの方法論を作り上げる道筋を示すものである。 また私の講義は香港中文大学の学部、大学院における文化マネジメント課程の教育スキームを、どのようなアカデミックな意図で設定したかについて触れる予定である。 私の講義は文化マネジメント課程がどのように構築されているか、それがどのような思想を有しているかについて説明し、この課程の形成が文化マネジメントの批評的方法論に関するいくつかの思考を反映していること、そして近年新たに開発された学問分野である「Public Humanities(一般公衆への文化の提供)」との関係について触れる。